小酒井不木の短編小説。
【書き出し】
その年の暑さは格別であった。ある者は六十年来の暑さだといい、ある者は六百年来の暑さだと言った。でも、誰も六万年来の暑さだとは言わなかった。中央気象台の報告によると、ある日の最高温度は華氏《かし》百二十度であった。摂氏《せっし》でなくて幸福である。「中央気象台の天気予報は決して信用出来ぬが、寒暖計の度数ぐらいは信用してもよいだろう」と、信天翁《あほうどり》の生殖器を研究して居る貧乏な某大学教授が皮肉を言ったという事である。
(良い)
(普通)
(悪い)