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真田幸村
4話 真田丸
真田幸村(菊池寛の作品)第4話 「真田丸」を今すぐ読もう!チャット形式小説投稿サイトBookChat
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東西手切れとなるや幸村は城を出で、東軍を迎え撃つことを力説し、後藤又兵衛も亦真田説を援けたが、大野渡辺等の容るる所とならず、遂に籠城説が勝った。

前回にも書いてある通り、大阪城其物を頼み切っているわけである。

籠城の準備として、大阪城へ大軍の迫る道は、南より外ないので、此方面に砦《とりで》を築く事になった。

玉造口を隔てて、一つの笹山あり、砦を築くには屈竟の所なので、構築にかかったが、その工事に従事している人夫達が、いつとはなしに、此出丸を堅固に守らん人は、真田の外なしと云い合いて、いつの間にか、真田丸と云う名が、附いてしまった。

城中詮議の結果、守将たることを命ぜられた。しかし幸村は、譜代の部下七十余人しかないので辞退したが、後藤が、

後藤

「人夫ども迄が、真田丸と云っている以上、御引受けないは本意ない事ではないか」

と云ったので、

幸村

「然らば、とてもの事に縄張りも自分にやらせてくれ」

と云って引き受けた。

真田即ち昌幸伝授の秘法に依り、出丸を築いた。真田が出丸の曲尺《かねざし》とて兵家の秘法になれりと『慶元記参考』にある。

真田は冬の陣中自分に附けられた三千人を率いて此の危険な小砦《しょうさい》を守り、数万の大軍を四方に受け、恐るる色がなかった。